第22夜(2024年12月19日) 真面目


 根は真面目なのである。いや本当に。根が真面目でない人を見るとうらやましく思つてしまう。何がというと、文章のことである。

 昔、マイコンBASICマガジンというパソコン雑誌があつて、真面目な記事の合間にふざけた不真面目なページがあつて、とつても面白かつた。ガビンちやんという人が、いい年をしてのえのえぷうと言うのである。のえのえぷう。意味は判らないけれども明らかにふざけている。私のような根が真面目な人からは千年経つても出て来ない台詞である。記憶が不確かなので別の雑誌だつたかもしれないけれど、とつても面白かつた。もしかするとフアミコン通信だつたかもしれない。三国一の大バグ野郎というふざけたコーナーがあつた記憶がある。



 つい最近、真面目に文章を書いてしまつた。書いているうちは楽しかつたけれど、書き上がつたものを読み返してみるとそれほど面白くない。昔書いたものの方が面白かつたと思う。取材不足もあると思うけれど、一番の原因は真面目に取り組み過ぎたことだと気付いた。筆者が真面目に文章に取り組んでしまうと、どうしてもその真面目さが文章に表れて、読者に伝わつてしまう。何というか、読者が読み疲れしてしまうのである。

 エンタメなのだから、寝転がつてのんびり読めるくらいのものが丁度いい。今更ながらこのことに気付いて、気付いてよかつたと思つた。来年はエンタメ小説を書いて懸賞に応募する予定であるからである。

 字数も詰め込み過ぎない方がいい。頁の白い部分が多い方が好まれるように思う。やり過ぎると真つ白になるので、バランスが大切なのだけれど。根が真面目なので、このバランスというものが難しい。ついついやり過ぎてしまうのである。登場人物も少ない方がいいと思う。一人登場したら一人殺すくらいがいいのかもしれない。舞台も誰もが知つている場所がいい。例えば富士山である。富士山を舞台に登場人物が次々と死んでいく物語がどんな物語なのか全く思い付かないけれど、読み易い名作というものはきつとさういうものなのであらう。



 はつ。ついつい真面目に書いてしまつた。次はちやんとふざけますので、お許しのほどを。






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2024/12/19
文責:福武 功蔵