第17夜(2024年10月5日) ゴルフの練習


 半年振りにゴルフの練習をした。ゴルフをご存じない方のために少しく解説すると、ゴルフは日本ではパチンコの次に盛んなスポーツであり、パチンコ玉よりは大きく、野球のボールよりは小さな球を打つて穴に入れるスポーツである。

 難易度は高い。まず、野球と異なり、打数は少ない方が良いとされており、打ち直しは原則として許されない。球を打つクラブは十数種類もあり(覚え切ることができない)、六ホール回れば十分楽しいのに十八ホールも回らなければならない(結果ヘトヘトになる)。十分に練習場で練習して臨んでも、いざコースに出てみれば、巧みに配置された池、砂や草にボールが絡め取られるようになつており、練習の成果はほとんど活かされない(練習場には池、砂や草は無い)。

 多くの初心者にとつてゴルフの十八ホールは大変苦しいものになつていると思う。私など二十年前にゴルフを始めたのにもかかわらず未だに初心者であり、十八ホールは苦しい。せめて八ホールにしてほしい。打ち直しも認めてほしいし、池、砂や草は撤去してほしい。芝生だけが広がるコースでそよ風に吹かれながら、のどかにゴルフを楽しみたいものであるけれども、現実はさうはいかない。

 私はゴルフが全く上達しないので、半年前のゴルフを最後に引退したかつたけれど、私が次回の幹事の一人になつたため引退の機会を逃した。優勝者とブービーの二人が次の幹事になる慣例と、連続して幹事にならないという慣例があり、前回の幹事の一人がブービーになつたので最下位の私が代わりに次回の幹事の一人になつた訳である。嬉しくない繰り上げ当選。いよいよ来週にゴルフとなつたので、やむなくクラブを担いで練習場へ行つた。



 練習場はどんどん減つており、最寄り駅の練習場がなくなつてしまつたので、少し離れた駅まで行かなければならない。練習場に入つても半年振りで勝手が分からず、長い間、打席でカードの差し込み口を探した。練習場の打席にはカードの差し込み口があつて、カードを差し込むと打席に自動でボールが出てくる仕組みであつたはずである。

 けれども、どう見ても何度見てもカードの差し込み口が見当たらない。これはあれか。私が知らない間に、チエンソーマンがカードの差し込み口という概念を食べてしまつたのではないだらうか。漫画「チエンソーマン」では、チエンソーマンが食べた概念は消滅することになつている。

 これは困つたなと思いながら、ふと後ろを振り返つたときに、背後の壁にカードの差し込み口を見つけた。練習場の壁に設置してある機械にカードを差し込むとボールが出てきて、そのボールを籠に入れて打席まで自分で運ぶ仕組みである。割と普通にある仕組みであるのにうつかり忘れてしまつていた。



 さう、私はうつかり者なのである。ミスをして原因が判つても、うつかり忘れるものだからまた同じミスをしてしまう。私にゴルフ上達の日が来ることは当面ないであらう。さうと判つていても、練習はしておかなければならない。

 練習するクラブは五本。一番、五番、八番、ピッチングで、五番は芝生用の木のクラブと草むら用の鉄のクラブの両方を用意する。私は綺麗な芝生を見ると、芝生を掘るのが嫌だと思うあまり、空振りをしてしまうので、芝を掘らずに芝の上で滑つてくれる木のクラブがどうしても必要である。

 もう二十年近くもゴルフをしているものであるから、練習はスムーズであり、どのクラブもそれなりにボールが飛ぶ。最後におさらいをしたところ、どのクラブもそれなりにミスが出た。うん。これもいつも通りである。

 ミスの原因は判つている―例えば右に飛ぶのはグリツプの捻りが足りず、左に飛ぶのはテイクバツクが真つ直ぐ過ぎる―けれどもコースに出ればうつかり忘れてしまうことであらう。また最下位かなあ。






新着順一覧 − 日付順一覧 − 前を読む − 次を読む − トップページ


2024/10/5
文責:福武 功蔵