第7夜(2024年6月13日) 木曜日の次


 熱が出た。久し振りに熱が出たので熱に慣れていない頭が朦朧とする。さほどの高熱でもないのに情けないことである。自分の行動が一々遅い。なぜ遅いかを考えてみると、全てが他人事のように感じられるからのようだ。立ち上がるのにも、自分が立ち上がらないといけないということになかなか思い至らず、あつそうか、自分で動かないと身体は動かないんだという当たり前のことが意識から飛んでしまつている。

 解熱剤と葛根湯を処方してもらつたれど、解熱剤の方は飲むとかえつて具合が悪くなつたので葛根湯だけ飲むことにした。葛根湯は昭和の香りがして懐かしい味である。

 ひどく落ちた体力で最低限の外出をして帰つた。今日は木曜日。木曜日の次は何曜日だらう?



 昔、忙しい仕事をしている知人と話しているときに、一週間が七日しかないのは足りないという話で意気投合したことがあつた。頑張つているのに仕事が終わらないのは、本来あるはずの曜日が失われているからではないか。

 失われた曜日についても議論をしたのだけど、そのときにはこれといつて良い曜日を思い付かなかつた。たしか太陽系の惑星になぞらえて天曜日だか海曜日だかを提案したような気がするけれど、全く腑に落ちなかつた。

 それから十余年。判りましたよ。



 木曜日の次は、人偏に木と書いて、休。休曜日。

 明日は一日予定がなく、本来であれば貯まった仕事をする日なんだけれど、この頭の状態では仕事はできそうにもないので、休曜日にして休養に充てる。図書館から太宰治の評論文とサリンジャーの小説を借りてきてあるので、文句を言いながら読むことにする。そう言えば、サリンジャーって、文句ばつかり言つているような気がするのだけれど、そう思うのは私だけでしようか。

 失われた曜日はまだ他にもあるかもしれません。判つた人は是非教えてください。




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2024/6/13
文責:福武 功蔵