今朝のテレビでアントン・ウィッキーさん(86歳)を見ました。
ウィッキーさんは、スリランカで生まれ、25歳で留学で日本へ来て3か月で日本語試験に合格、英会話教室で教えながら勉学に励んで海洋生物学で博士号を取得し、国際比較学を含めて、現在もさまざまな場所で教えておられるそうです。
43歳のときから15年間、朝のテレビ番組で「ウィッキーさんのワンポイント英会話」というコーナーを持ち、朝の顔として日本全国に知られるようになりました。
今朝のテレビでは、ウィッキーさんの職場付近で、別のリポーターのコーナーにゲスト出演したウィッキーさん。ずいぶんとお久しぶりの登場だったのですが、私がすごいと思ったのは、ウィッキーさんの話し方です。明るい表情、大きな声で、ゆっくり、はっきりと話します。
この話し方で、聴き手に対し、深い知性を感じさせるのです。ウィッキーさんの母語が英語なので、今話すべきことを素早く明確に打ち出すことができるという英語の強みが出ていること。本来はゆっくり、一音一音を伸ばして語ることでその魅力が出る日本語を、本来の意味で、ほとんど完璧なレベルで習得していること。これらがその理由でしょう。
そう、日本語は、本来、ゆっくりと母音を伝えることで魅力が出る言葉だと思います。テレビでは、早いテンポの日本語ばかりですが、これは放送時間が限られているというテレビ特有の理由によるものでしょう。
戦場カメラマンの渡部陽一さんも、ゆっくりと話すことで魅力を出しています。ダウンタウンの松本人志さんが世に出たときも、従来の早いテンポの漫才に対し、ゆっくりしたテンポの漫才を披露したことで、魅力が出たと言われています。
ただし、単にゆっくりと話すだけでは、ただのゆっくりな人だと思われてしまい、特に若い人だと知性を出すのに苦労するように思います。ウィッキーさんは、見た目で分かる年齢や、表情や仕草も含めて、聴き手に安心感を与えているのです。話すというのは単に言葉を音にするだけではないということに気付かされます。
そういえば、昨年亡くなったオシム監督も、ゆっくり話す中に、面白い冗談が混じる人でしたね。
私も50歳になりました。これからは、今までよりももっと、ゆっくりと、笑顔で話すことのできる人になろうと思います。