第0回 自由の巻




 自由、freedom(※)という言葉について。

 政治がどのようにあるべきかについて言えば、自由とは、政治が行われないことを求める点で画期的です。

 放っておいてくれというわけです。いわば数学におけるゼロの発明のようなものであります。



 自由という言葉は、このような政治的文脈に止まりません。

 先だって、自由という言葉から個人の尊重という言葉を導き出しましたが、自由という言葉にはさらに先があるのです。



 例えば、坂本龍馬を同時代人が評するとき、

 未だ自由という言葉は広まっていなかったわけですから、何物にもとらわれない人という評になるでありましょう。



 何物にもとらわれないという表現は、重力からの解放を暗示しています。

 地球上では重力が働くから、重力が働かないのは宇宙にある人です。



 われわれ人類の祖は、宇宙から来たという説があります。

 この説に従うと、自由という言葉が重力からの解放を意味するとき、それは宇宙から来た人類の祖の記憶、つまり原初の記憶と結び付きます。

 こちらも、記憶の順番で言えばゼロなのです。

 自由という言葉に感じる何か深い感覚は、このあたりに理由があるのかもしれません。



 ※ 自由という言葉の元となった英語は、ほかにlibertyというものがあり、こちらは派生してliberal(リベラル)となります。

 ラテン語liberが語源ですが、liberは古英語に入ってleodとなり、進歩とかリーダーという意味合いを持つようになります。

 リベラルという言葉に感じる、単なる自由ではない余計な何かは、このあたりに原因がありそうです。


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2022/9/10
文責:福武 功蔵