第143回 超大国についての巻


 最近、中国やアメリカのような人口の極めて多い国について考えていました。

 国力も高く、国際的な影響力も高く、超大国と言われています。

 中国は14億人以上、アメリカは3億人以上の人口があります。

 GDPはそれぞれ13兆ドル、20兆ドル。

 ちなみに日本は人口1億人、GDP5兆ドルです。



 考えていたのは、政治についてです。

 中国の政治がどうなっているかというと、人が人を選ぶ政治になっているのだと思います。あの人は優秀だとか、そうでないとか、別の人たちが決めるのです。

 決めるにあたってコンセンサスが必要となります。現代の情報化社会で、人の数も多くなると、決める基準、コンセンサスは常識的なところへ落ち着いていきます。

 アメリカも同様でありましょう。

 じゃあ問題はないじゃない?



 問題はあるのです。

 人の評価を決める人たちや人を選ぶ人たちの群れというものが、国民全体ではないのです。

 人口が多すぎる故にそのようなことが起きる。中国では明確にそうであり、支配者層があり、その他の人を支配する構図になっていると考えられます。

 アメリカでは明確にはそのようになっていないが、事実上そのようになっていると見ます。



 次に起きる問題は、支配者層がその他の人を支配する手段と理由です。

 端的に言ってしまえば、支配者層とその他の人との間で、人としてのちがいはない。ゆえに支配する理由などない。

 支配する理由がないのに支配するわけだから、話し合いで解決することができず、支配の手段は暴力ということになってしまう。

 このように、超大国では、国が暴力的になる要因が存在する。おそろしいことです。



 このように考えるに至ったのは、久しぶりに外国人の刑事事件の弁護人をすることになったからです。

 在留カードにICチップが組み込まれており、常時の携帯を求められ、不携帯には罰金刑があることを知りました。

 怖いと思いませんか。必要性は分からなくはないが、私は怖い話だと思いました。

 日本でも、少し道を間違えると国が暴力的になってしまうおそれはあるように思います。道を間違えないよう、皆で気をつけていきましょう。

 


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2020/9/17
文責:福武 功蔵