このゲームの6章で、主人公は生まれた国の白夜王国と、育った国の暗夜王国のどちらかを選択することになる(注1)。
主人公のきょうだいたちは白夜王国にも暗夜王国にもいるのだが、そのきょうだいたちが、主人公に対し、自国へ来るよう呼びかける。戦いをも辞さないほどの強い呼びかけだ。
主人公としては双方のきょうだいたちから呼ばれてうれしい場面だが、どうしてそこまで強く呼びかけるのか。11歳になった長男とこの話をしていて、ようやく分かったことがある。
白夜王国と暗夜王国は戦争中であり、戦いの鍵を握る王族のパワーバランスは次のとおりとなっている。
白夜王国 暗夜王国
皇 亡スメラギ、亡ミコト ガロン王(武器:斧)
第1皇子 リョウマ(武器:剣) マークス(剣)
第1皇女 ヒノカ(槍) カミラ(斧)
第2皇子 タクミ(弓) レオン(魔法)
第2皇女 サクラ(回復) エリーゼ(回復)
ガロン王の計略により、白夜王国の皇であるスメラギもミコトも亡くなっているので、暗夜王国が有利であるように見える。じっさいに暗夜王国が白夜王国へ一方的に侵攻している。
しかし、白夜王国第1皇子リョウマには、勝利するための秘策があった(回復役は省略)。
リョウマ(剣) VS ガロン王(斧)
ヒノカ(槍) VS マークス(剣)
タクミ(弓) VS カミラ(斧)
主人公 VS レオン(魔法)
このゲームをやったことのある人ならお分かりだろう(注2)。これは勝てる組み合わせなのだ。主人公が、レオンの魔法を竜石で耐えることができれば(注3)、その間にタクミがカミラを撃ち落とし、ヒノカがマークスの攻撃をしのぎ、リョウマがガロン王の絶大な攻撃力の攻撃を回避して一撃を見舞うことができる。
主人公さえ自国に来れば、戦いに勝てる―そう確信したリョウマは主人公に対し、「こちらへ来るんだ(いやマジで。)」と強く呼びかけ、戦いをも辞さなかったのである。
おそるべきはリョウマ、そしてそのリョウマの秘策を読み取った暗夜王国第1皇子マークスである。マークスも、主人公に対し、「こちらへ来るんだ(いやほんとマジで。お前、白夜王国へ行くとかふざけるなよ)」と強く呼びかけ、戦いをも辞さなかったのである。
このように、しばしば、表面には表れない深謀というものがあるのが、世の中の面白いところであるなあ。
(注1)どちらも選ばない透魔編というものもあったりする。
(注2)ゲームシステム上、剣は斧に勝ち、槍は剣に勝ち、斧は剣に勝つという3すくみと、飛行キャラ(ヒノカとカミラ)は弓に弱い(攻撃がクリティカルになる)ということになっている。
特にリョウマは回避能力が異常に高い。リョウマと同等の回避能力を持つのは伝説の剣聖ナバールだけだと思う。
(注3)竜石は、竜の力を封じ込めた石で、主人公は竜石を使うと竜に変化して防御力が大幅に上昇する。竜になる主人公は今作が初めてだと思う。最初は正直、竜かよー、って引きました。