裁判員裁判について、良い講義を聞きました…
裁判員裁判では、まず、検察官が、「本件はこのような事件なのですー」と説明をします。これが検察官の冒頭陳述。
その後に、弁護人が「いやいや本件は実はですねー」と説明をします。これが弁護人の冒頭陳述。
検察官の冒頭陳述は、分かりやすい。裁判員の人たちに評判が良い。
時系列に従って書かれた、多色刷りの資料が付いてくるのも良いところなのでしょう。
検察官の冒頭陳述が分かりやすいために、検察官の冒頭陳述が終わった直後は、被告人にとってやや不利な状態です。
つまり、「検察官の話は分かった。まず有罪、凶悪な事件ということで間違いないな」という空気が法廷に満ちている状態ということでしょう。
この空気の中で、弁護人の冒頭陳述が始まるのですが、これがそれほど評判よろしくないようなのです。
分かりやすさと説得力の両方で物足りないというか。
講師の先生によれば、もっと証明に対する情熱を示す必要がある。
絶対にこうこうこういう事実をこれから立証するのです、という強い決意表明が必要だということでした。
被告人に不利な空気を一掃するためには、弁護人の冒頭陳述には、インパクトが必要だというお話もされていました。
これまでも裁判員の目を見て話すなどの工夫がなされてきましたが、どうやらまだまだインパクトが足りないようです。
配布する資料に、視覚的に訴えるような何らかの工夫が必要なのかなあと思いました。
分かりやすくするという意味では、争点と、ポイントとなる証拠は分かりやすく示した方がよいのでしょう。
裁判員裁判の最後を締めくくる、最終弁論についてもお話がありました。
裁判員が納得するには、結局は、証拠の正しい評価というものが必要になります。
弁護人は、検察官が提出した証拠の弱点を的確について、裁判員に示すことが必要だということでした。
精神鑑定についてもお話がありました。
事件当時の被告人の精神状態に問題があったような事件では、精神鑑定というものが行われ、被告人の様子を見て精神科医が意見書を作ります。
これまでは、鑑定書が複数あると、裁判員が混乱するので、再鑑定はしないという考え方が主流だったように思います。
しかし、講師の先生からは、実際には複数の鑑定書を見比べることで争点がよく分かることもあるので、再鑑定をすることもあるというお話がありました。
弁護人が再鑑定を求めるときは、問題点を明らかに示すことが必要だということでした。
鑑定の資料の収集過程に問題があるのか、精神症状の判定に問題があるのか、事件と精神症状との関係に問題があるのか。
良い講義を聞いたので、裁判員裁判については、今までよりもさらに良い取り組みができそうです。