第43夜(2025年10月12日) じやない


 新海誠監督の名作アニメーシヨン「秒速五センチメートル」が実写映画化されると宣伝されており、雑誌でも特集が組まれていたので記事を読んだ。大変興味を惹かれる。

 しかしながら、名作をまだ見ていない私には、何が秒速五センチメートルなのかが判らなかつた。特集記事にもこの点の解説はなかつた。



 私が悩んでいると、家の者が私に助言してくれた。

 「何かが、秒速五センチメートルで、動くんじやないの?」

 おお、さういう事か。

 秒速五センチメートル。私は計算してみた。六十を乗じて、分速三メートル。さらに六十を乗じて、時速百八十メートル。つまり時速〇・一八キロメートル。‥‥かなり遅いな。



 一体何が、時速〇・一八キロメートルで動くのだらうか。さうしてその物体は、どのやうに物語と関連するのだらうか。亀かと思つて調べてみたけれど、亀はもつと速いらしい。

 私は考えに考えた。けれども、判らなかつた。

 「何が動くのか、全然判らないよ」

 さう私が家の者に言つて、笑いかけたところで‥‥急に閃いた。



 たしか月が、少しずつ地球から遠ざかつているという話を聞いたことがある。

 少しずつ、少しずつ。これなのではないか?

 インターネツトで調べてみた。月が地球から遠ざかる速さは‥‥





 一年間で約八・三センチメートル。だつてさ。

 もつと遅かつた。





 閑話休題。



 新海誠監督の名作アニメーション「君の名は。」を観る前に、既に観た姪つ子に感想を尋ねたことがあつた。

 ネタバレにならないように気を付けてと言つて尋ねたら、



「三年ずれてる!」と姪つ子。



 うん?何が三年ずれているのだらう?



 映画を鑑賞し終わつて、じつに適切な感想だつたなと、私と家の者は言い合つたものだつた。ネタバレにならない範囲での、映画への興味を惹き立てるやうな言葉。

 秒速五センチメートルという言葉も、そのやうな言葉なのだらうな。勉強になつた。

 私の駄文の表題も、これからは考えて付けてみやうと思う。さういう考えで、今回は表題を付けてみた。興味がお有りの方はお調べ頂けると幸いである。








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2025/10/12
文責:福武 功蔵