裁判員裁判の研修を受けました。今回は反対尋問です。
3C(コミット、クレジット、コンフロント)、CICC(I=インポータント 欠落事実の場合)
法328条で証明力を争う証拠として提出するということなのですが、形としては過去の矛盾供述の記憶の有無を尋ねた後で記憶喚起として示します。
規則199条10の「同一性」、「準じる」で証言に反する供述調書を示すのですが(裁判長の許可は要らない)、
検察官から、規則199条11の明文の規定(またはその趣旨)に抵触するという異議が出ることがあります。
異議が出た場合は、反対尋問における自己矛盾供述の存在を示す場合は許されるという解釈が大半ですと言えば、読み上げる方法で許されることがあります。
読み上げるときは、検察官に対し、誤導なら異議を出すよう言ってから、書記官に異議がないことを調書に取ってもらいます。
導入は、証人に対し、シンプルに「あなたは○○と言ったのではないですか」と調書を基に誘導するのが有効だそうです。
コミット(証言の確定)がしっかりしていないとその先につながりません。
コミットはコンフロント(証言と対応する、これと矛盾する調書の記述)と対応する形にします。
コミットを強くすると主尋問の信用性を高めることになるので、コミットし過ぎないように注意します。コミットは、「間違いありませんね」と確認が取れれば十分です。
クレジット(以前の証拠、すなわち供述調書の信用性を示す)は丁寧に行います。
「警察官から聞かれたことに答えましたね」
「大きな男が何をしたか聞かれましたね」
「小さな男が何をしたか聞かれましたね」
「それについてあなたは答えましたね」
「あえて嘘をついたというようなことはなかったですね」
「それを聞いた警察官が調書を作ってくれましたね」
「警察官は間違いがあったら訂正しますと言ったのではないですか」と証人にイエスと言わせ続けます。
3Cは無駄なくテンポ良く行わないと効果が出ないそうです。
「本文末尾署名指印部分を示します」←これを覚えておきます。そして噛まずに言います。
(示す場合)「今から書いてあるとおりに読み上げますから間違いがないかどうか読みながら聞いて下さい」
「私は書いてあるとおりに読み上げましたか(はい)」または「記憶はよみがえりましたか(はい)」で終わります。
インポータントは、重要な事実、存在したとすれば記憶に残る事実、調書に残る事実ということを確認します。
その他
反対尋問は時系列に従って聞くと、主尋問の信用性を高めることになるので(いわゆる「塗り固め」)、
基本的には時系列で聞くのはやめたほうがよいそうです。
反対尋問は、ひとつの問いでひとつの事実を尋ねるのがよいです。二人の動きを尋ねるときも、一人ずつ尋ねます。
獲得目標を明確にする必要があります。
獲得目標のあたりでは、間をゆっくりめに調整して、裁判員にしっかり聞いてもらうようにします。
証人の証言全体(すなわち証人そのもの)の証明力を減殺することはできません。
(もしそれが可能なレベルの証人であれば刑事法廷には出てこないです)。
したがって、証言の「部分」を取り上げ、有利なものは有利に、不利なものは証明力を減殺するという手法によらなければならないとのことです。
書面を示すとき「これはあなたの署名ですね」という説明では裁判員は分からないです。
「ここに○○という署名がありますがこれはあなたの署名ですか」という聞き方をするのがよいようです。
盛りだくさんな研修でした。
今後は良い裁判員裁判ができるように思います。